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1.決められた働き方
現在、働いている人の中で自分に合った働き方ができているという方はどれくらいいるのでしょうか?正規社員で働くには、最低でも週に20時間は働かなければなりません。雇用保険に加入する必要があるからです。
しかし、週に20時間だけの出勤で良いという会社はどれだけあるのでしょうか?1日の出勤時間を7時間と当てはめて計算してみると週に3日の出勤になります。週に3日の出勤で月に20万円が保証される。
そんな会社はおそらくほとんどないでしょう。現在の日本型の雇用ではそこで働いている個人の能力感や背景を必ずしも考慮しているとは言えないのが現状です。
“マクドナルドジョブ”という言葉を知っていますか?
これはアルバイトであっても求められるものが多い、という意味でよく使われます。私たちはどんな業種、どんな業界で採用されても、結局のところ総合的に仕事を行えなければならないのが現状です。
例えば、営業職で採用されたとしても、営業の業務以外に掃除もすれば、郵便局にも行きますし、書類の作成もします。来客があればお茶も出します。
私たちはそういった「当たり前」を共有しているのです。
そして長時間の勤務と「うまくいかない」が重なると、大きなストレスとなります。精神障害の方には参加が難しい場合が多くあるでしょう。
2.精神障害の方に企業が求めること
先日、精神科のデイケアのドクターと話をする機会がありました。クリニックでは『うつ』や『双極性障害』の方が「働きすぎて体調を崩した」「激務によるストレスで変調をきたした」と受診される方が多いのだそうです。
治療を続け、就職活動の許可を出しますが、本心としてはドクターも週に20時間程度が妥当だと判断していても、企業が求める条件はほとんどが『週30時間以上の勤務が可能な人』と明記されている為、仕方なく『週2.5日まで』という時間を明記しない診断書を出すのだそうです。
企業は仕事の『プロ』であっても、障害や病気の『プロ』ではありません。
精神障害をお持ちの方は、受け入れ先の企業をこちら側から探すことが必須となってきます。本人が自然と夢を持って働きかける関係づくりはできないものでしょうか?
3.企業が精神障害を持っている方に雇用の際に求めることは何か?
就労移行支援事業所として、企業が精神障害を持っている方を雇用するにあたって何を重要視するかと聞かれたら、それは自分の病気の理解や再発をしない為の対処がきちんとできるかだと答えます。病気に囚われることなく、自分のやりたいことに自信を持って働く。ここを目標に支援を行います。
例えば作業訓練ですが、必ずしも作業効率を上げることが重要ではない場合もあります。作業訓練では確かに作業スキルを上げることができます。作業訓練から得られることは多いとは思います。しかし厳しい事を言うと、作業訓練のスキルを上げても、企業の即戦力にはなれないと考えます。では、作業訓練を通じて得られるものは何かというと、復帰に必要な体力であったり、疲労時の対処方法などが挙げられます。
再就職後は、「企業の大切な従業員の1人」という意識を持ってもらい、なるべくなら就労移行支援事業所の介入度がないことが理想です。もちろんサポートが必要な時もあるかと思いますが、なるべく就労移行支援事業所の訓練を通して体力と疲労時の対処方法等を身に付け、自分で自分を管理できるようになっていると、再就職後もうまくやっていけるのではないかと思います。
精神の病いを経験している人のなかで、「働きたい」と希望している人は70%近くいると言われていますが、その希望がまだ叶っていない人も多くいると思います。「働きたい」と希望している人は多いのに、それに応えることができる企業と就労移行支援事業所が少ないのが現状です。
精神障害をお持ちの方の「働きたい」に応えることができる就労移行支援事業所が益々増えていくこと、また就労移行支援事業所が企業との関係性を構築していくことが重要だと考えます。
リカバリーは当事者1人で行うのではなく、多方面からのフォローがあって実現が可能になってきます。
1人で悩まずに、就労移行支援事業所に相談してみるなど、支援機関をうまく活用することをおすすめします。